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桂の家(M-HOUSE) 写真:平野和司

カッコいいだけの家はいらない~住まいは道具である

心を開放してくれる程大きな吹抜け、気持ちまで明るくしてくれる程大きくて明るい窓。 これらは家に居ながらにしてまるで大ホールや美術館にいるような 清々しい気持ちを与えてくれます。住まい手のみならず、来訪者にも好評です。 特に最近これらのデザインは注目を集め、多くの住宅建築で用いられています。 確かに「カッコいい」空間を構成するための要素となるでしょう。

しかし、これらの大きな吹き抜けは「コールドドラフト」によって体感温度が上がらず、 明るく大きな窓はきびしい直射日光を部屋にもたらし、空調設備がフル稼働したり 家具や内装の劣化を早めたりする、ということはあまり知られていないことです。

そんなことには来訪者が気付かないのは当然ですが、 その住まい手といえども住んでから初めて分かった、 などの住宅の落とし穴が潜むケースがあります。

業者と住まい手の関係は、完成して住み始めるまで、いわば納品日からスタートするもので、 決してこれがゴールではありません。 「入居時には大変満足していたじゃないですか。すぐに言ってくれないと困りますよ」などと、 その後の住まい手の訴えに対する対応は、まさにクレーム対応、知らんぷり。 人の住まいに携わる業者が聞いて呆れます。

我々は見た目だけにとらわれた設計はしません。 カッコいい空間は確かに精神を豊かにしてくれます。

しかし身体的に気持ちよくなれなければ、その豊かさもいずれは色あせたものになるでしょう。 カッコ良さとの引き換えが、その後ずっとかかり続ける高額な月額光熱費、 不自然な体温調節では、あまりに代償は大きすぎます。

われわれは住まい手のライフスタイルとその空間に応じた設備設計を立案します。

イニシャルコストとランニングコストをしっかり比較し、 できるだけ省エネルギーで地球環境に負荷をかけない建築を設計します。 クライアントには、その長所と短所を説明した上で空間とのよりよいマッチングを探ります。

我々は、住まいは道具だと思うのです。 正しく設計し、正しく使ってはじめて精神的にも、身体的にも 空間の豊かさを享受できると思うのです。